スキンケアとは?

素肌がもっている美しさ、つまり透明感やハリ、ツヤなどを保つために皮膚を整えることを「スキンケア」といいます。
皮膚の構造と機能をよく理解して皮膚を傷つけず、皮膚を清潔な状態に保つこと、適度な水分と脂分を補い、そして紫外線を避けることが基本です。
スキンケアは、肌を若返らせたり、皮膚を修正するものではありません。
年齢の応じた素肌の美しさを保つことが目標です。

スキンケアの重要性

例えば、アトピー性皮膚炎の人の皮膚は、健康な肌と比べて乾燥し、外からの異物・刺激に対するバリアが弱く、健康な皮膚では何でもないような刺激にも過敏に反応してしまいます。
その刺激から肌を守るためには、少しでも皮膚を良い状態に保つことやバリア機能を回復できるように皮膚の環境を整えることも必要です。
そのためにスキンケアが重要となります。
アトピー性皮膚炎の発生原因は様々な要因が複合しており、アレルゲンの除去や薬により治療が行われています。

スキンケアはアレルゲン除去や薬と同じくらい重要

厚生労働省長期慢性疾患総合研究事業アレルギー総合研究・アトピー性皮膚炎班が発表された“アトピー性皮膚炎治療ガイドライン(平成11年)”の中で、以下の3点はアトピー性皮膚炎の治療において、同じくらい重要性をもつことが示されています。

  1. 原因・悪化要因をみつけて除去する
  2. 皮膚の防御機能の補正(スキンケア)
  3. 薬物療法(炎症やかゆみを抑える)

スキンケアはアトピー性皮膚炎の治療を行う上で、アレルゲンや悪化因子を取り除くことや、炎症やかゆみを抑える薬物療法と同じくらい大切なこととして位置づけられています。
皮膚疾患があるないに関わらず、毎日行われるスキンケアによって肌は、健康にも不健康にもなります。
健やかな素肌を保つには正しいスキンケアが欠かせません。

スキンケアの基本

スキンケアの基本は正しく洗うことから

皮膚を清潔に保つことはスキンケアの基本です。
皮膚の正しい洗い方を身につけるには、皮膚の汚れにも種類があることを理解してください。

水洗いで落ちる汚れ
ホコリ・ゴミ・汗・垢(古い角質)
洗顔料が必要な汚れ
油性化粧品・皮脂

整理してみると分かるように、使用しているメイク品の汚れ以外は、洗浄料を使えばほとんどきれいに落とせます。
手のひらでゴシゴシこすって洗う必要もありません。
多くの方が皮膚の汚れと思って落としているのは、皮膚の新陳代謝で押し上げられた古い角質細胞です。
この角質細胞は皮膚の水分と脂分とを保つのに大切な役割をしていますから、無理にこすり落とさなくても自然に垢となって剥がれ落ちていきます。

スキンケアの基本

  1. お風呂やシャワーなど皮膚に直接触れる水は塩素(カルキ)を中和するか、取り除いて使用する。
  2. 皮膚は清潔に保つ。洗浄剤をよく泡立てその泡で、やさしく手の平で撫で洗いする。洗浄成分が残らないよう十分にすすぐ。
  3. しっかり保湿して肌を乾燥させないようにする。皮膚の通水性や通気性を妨げないように油分での保湿は避ける。
  4. 爪は短く切って、皮膚を傷つけないように。
  5. お風呂のお湯はぬるめに。
  6. 衣類は木綿製を着て、汗をかいたらこまめに着替える。
  7. 部屋はホコリがたまらないよう掃除する。
  8. 紫外線に長時間あたらない。
  9. 規則正しい生活、和食、睡眠を十分にとることを心がける。
  10. ストレスを溜めない。

皮膚の状態にあったスキンケア:乾燥肌

スキンケアは一人ひとり自分にあった方法を見つけることが大切です。
皮膚の状態は年齢や性別、環境(湿度・気温・日照量)、体調、スキンケア方法、化粧品の使用、女性では月経周期などの様々な影響を受けて個人差があります。
皮膚の状態を、脂性肌、乾燥肌、普通肌の3つに大きく分けて考えると、スキンケアのポイントが整理できます。

乾燥肌の特徴

乾燥肌は、皮膚の表面の水分が不足しているため見た目につややハリ、なめらかさがなく、小じわが目立つ肌です。

乾燥肌のスキンケアのポイント

  • 洗顔料を使っての洗顔は、夜もしくは入浴時にする。
  • 弱酸性の洗浄力のやさしい洗浄料を使用する。
  • ナイロン製のタオルやブラシなどでこすらない。
  • 朝はぬるま湯またはお水での洗顔をする。
  • アルコールの入った化粧水などは脂質を落としすぎるので使わない。
  • 洗顔後に化粧水で水分を補い、ジェルやクリームでうるおいをキープする。

脂性肌の特徴

脂性肌は、肌がてかる、ヌメヌメした肌などと表現されます。
脂腺が成熟して皮脂の分泌が活発になる思春期頃に肌は脂性に傾きます。
皮脂汚れをきちんと落とさないと毛穴を塞いでニキビを作ってしまいます。

脂性肌のスキンケアのポイント

  • 洗顔料を使って、朝や帰宅時、就寝前の3回洗顔する。
  • 肌がぬめるときは、ティッシュなどでこまめに皮脂を吸い取る。
  • 皮脂が多くても逆に水分不足のときもあるので化粧水は使用する。

普通肌の特徴

普通肌と思っていても多くは、頬は乾燥し、Tゾーンは脂っぽい状態ですから、両方のスキンケアを行います。

季節にあったスキンケア

夏のスキンケア

夏は汗で皮脂が顔に広がりやすくなり、乾燥肌でも脂性肌にみえます。
そこで乾燥肌のスキンケアを怠りがちですが、乾燥肌の人は、夏でも乾燥肌用のスキンケアを心がけることが大切です。
特に腕やすねのように脂腺が少なく乾燥しやすいところは、絶対に垢こすりしないことです。
オフィスでは冷房が入り、十分除湿が働いていますので、皮膚は冬と同じように乾燥しやすく、注意が必要です。

冬のスキンケア

冬は湿度の低下や冷たい風の影響で、肌の水分がどんどん奪われていきます。
また、寒さにより皮脂の分泌が少なくなりますから、脂性の人も、洗顔料を使う回数を減らすなどの工夫が必要です。

年齢や体調にあったスキンケア

女性は年齢の他に月経周期や妊娠などの状態で皮膚の状態は変わります。
変化に合わせてスキンケアできると、皮膚を良い状態に保つことができます。

若い女性のスキンケア

  • 紫外線から皮膚を守る
  • 皮膚のテカりやニキビの予防のために洗顔料でこまめに洗顔する
  • 顔や背中、胸の脂漏部分はていねいに洗う
  • 月経前や睡眠不足のときは特にていねいにスキンケアする
  • ナイロンタオル、ブラシ、軽石など刺激の強いものでこすらない

妊娠・出産とスキンケア

妊娠や出産で皮膚はいろいろと変化します。
個人によりその変化は様々です。
皮膚に変化が見られた場合は、かかりつけの産婦人科医に相談してください。
妊娠中や出産後もスキンケアの基本は「皮膚を清潔な状態にして、適度な水分と脂分を保持すること、紫外線は避けること」は変わりません。

妊娠中の皮膚の変化
毛と爪が早く伸びる
体温が上がり汗をかきやすい
お腹が大きくなると皮膚が伸ばされ、妊娠線が出てくる
皮膚の色が濃くなる(乳首の色が黒ずむ・ほくろやあざが目立ってくる・肝斑が 額や頬に出るなど)
血管が膨らむ(くも状血管腫・すねに静脈瘤が出る・痔ができる)
皮膚がかゆくなる
いつもより髪の毛の抜ける量が少なくなる
出産後の皮膚の変化
一時的に急に髪の毛が抜ける ・髪の毛が薄くなる

中年以降のスキンケア

この年代から皮膚の老化が目立ってくるときです。
老化の程度は個人差があり、若いときのスキンケアの成果が問われる年齢でもあります。
皮膚の老化を進めないためにも、紫外線を避けること、皮膚を乾燥させないスキンケが大切です。

お年寄りのスキンケア

お年寄りの肌は皮脂の分泌がとても少なく乾燥しがちです。
スキンケアは乾燥を防ぐことがとても大切です。
入浴時は38度~40度くらいのぬるめのお湯で入浴し、洗顔もお湯洗顔は控えます。
熱い温度のお湯は皮脂を溶かしてしまい乾燥しやすくなります。
また、ナイロンタオルやブラシのような摩擦の強いもので皮膚をこすることは厳禁です。
洗浄料もよく泡立てて、その泡を手のひらにとり、撫で洗いします。
冬は湿度が下がり室内の暖房により、皮膚はますます乾燥します。
入浴後は肌がたっぷり水分を含んでいる15分以内に保湿クリームなどを全身に塗ることをおすすめします。
皮膚は老化すると乾燥しやすくなるだけではなく、薄くなった皮膚を強くこすると、内出血して赤黒いあざができやすくなります。
強くこする洗い方は年齢問わず厳禁です。

バランスのよい食事

ビタミンやタンパク質、脂肪、炭水化物そしてミネラルは、皮膚の代謝に大切なものです。
食物に含まれる栄養量が不足すると、皮膚にトラブルが起きることがあります。
スキンケアには各栄養が不足しないことが大切ですが、たくさん食べたからといって肌の状態がよくなるわけではありません。
体全体のことを考えて、いろいろな栄養素を含むバランスのとれた食事を心がけましょう。
エネルギー的には肥満にならないように注意しましょう。
歳を重ねるにつれて体の代謝が衰えて、カロリー消費が少なくなりますから、いつものように食べていると太ってしまいます。
腹八分目を心がけましょう。

ストレスを避ける

精神的・肉体的なストレスが強くなると、いつものスキンケアができなくなることがあります。
疲れきってしまい、お化粧を落とさずに寝てしまったり・・・。このような時に皮膚トラブルが起りやすくなります。
強いストレスや長くストレスが続くと皮膚に変化が起きます。
手や足、全身に汗をかきやすくなったり、顔がほてる、皮膚がかゆくなるなどは一時的な変化でストレスがとれると元の皮膚に戻ります。
また、ストレスがきっかけで皮膚病が起こることもあり、こうした病気として「ニキビ」や「円形脱毛症」などが知られています。
ストレスは肌荒れや皮膚の病気の原因にもなりますから、ストレス対策が大切です。
睡眠不足や過労を避け、規則正しい生活を心がけてください。
また、精神的にゆとりをもてるよう心がけてください。
ストレスで起こる皮膚トラブルを予防するスキンケアはありません。