抗酸化剤
カビやウィルスの侵入により、体内では過剰の活性酸素が産生され、人間の体をも溶かそうと攻撃します。私たちの体内には活性酸素を除去する酵素類は、分子量が約３万以上と大きい高分子抗酸化剤と、分子量が約２００〜４００くらいの腸から吸収可能な低分子抗酸化剤とがあります。
強力に活性酸素を低下させる高分子抗酸化剤
抗酸化剤には高分子のものと低分子のものがあります。分子量の大きい生きた酵素の中で、活性酸素を強力に低下させるものを『高分子抗酸化剤』といいます。この高分子抗酸化剤には「ＳＯＤ(superoxide dismutase」「カタラーゼ(catalase）」「グルタチオン・パーオキシダーゼ（glutathinon peroxidase）」「Ｇ-６-Ｐ-Ｄ(glucose-6-phosphate dehydrogenase）」の４種類の酵素があり、これらが活性酸素を取り除いてくれます。しかし、ＳＯＤ酵素の分子量は３〜８万、その他の３種類の酵素は１００万以上になり、腸からは吸収できません。また、注射などで取り込もうとしても、アレルギーやアナフィラキーショックを起こす可能性が非常に高く、用いることはできないのです。
| 高分子抗酸化剤 （分子量３万以上） | 低分子抗酸化剤 （分子量２００〜４００） |
| ＳＯＤ・カタラーゼ・Ｇ-６-Ｐ-Ｄ酵素 グルタチオン・バーオキシダーゼ | ビタミンＣ・Ｅ・Ｂ２ カロチン・カテキン ポリフェノールズ・フラボノイド（ズ） |
※カタラーゼ、グルタチオン、バーオキシターゼ、Ｇ-６-Ｐ-Ｄの３種の酵素は、体内で代役できる物質が多いため、あまり重要視されません。ＳＯＤ酵素は体内にもともとあるだけに限られるので、活性酸素を除去する抗酸化剤の治療として重要視されます。
酵素の意味
（１）高分子抗酸化剤は、分子量が大きく腸より吸収されず、熱を加えると死滅し、生で摂取してもｐＨ１の強力な胃液により効果を失ってしまうという特性があります。
（２）カタラーゼやバーオキシターゼなど最後にアーゼがつく言葉は生きている酵素を意味します。酵素には（１）のような特性がついて回るため健康補助食品での酵素類は効果が望めません。
熱処理で酵素は消滅！
生で食べたら胃液で溶解！
分子量が大きくて腸から吸収できない！
ＳＯＤの基礎的なお話
（１）過剰の活性酸素を取り除くＳＯＤ酵素は、４０歳くらいを過ぎると力が弱くなります。そのため活性酸素が原因で起こる病気には年老いてからかかる病気が多いのです。また、ＳＯＤ酵素は遺伝子の６番目と２１番目に支配されているため、その力に個人差があります。
（２）ＳＯＤ酵素の力は量の問題ではなく、活性酸素や過酸化脂質が体内で上昇してきたときに、それに適応してＳＯＤ酵素も上昇していく適応能力、つまり誘導能が大切なのです。
高分子抗酸化剤は内服しても腸から吸収されず、注射での取り込みもできませんから、体内に存在するものに頼るだけです。体は高分子と低分子抗酸化剤が十分保たれていて、はじめて過剰な活性酸素や過酸化脂質による病気から体を守れます。そのため、低分子抗酸化剤を食べたり、飲んだりして外から補う必要がありますが、摂取する低分子抗酸化剤にも問題があるのです。
低分子抗酸化剤の大半は体内でつくれない
ＳＯＤ酵素をはじめとする高分子抗酸化剤は人間を含む全ての動植物の体内でつくられます。逆に低分子抗酸化剤のほとんどは体内でつくることができませんから、体外から摂取しなければなりません。
【ビタミンＣやＥなど】
植物では合成できますが、人間や動物は体外から摂取して補充しなけらばなりません。
【ビタミンＡ・Ｂ２・フラボノイド・カテキンほか】
体内でつくることはできますが、生産量は少ないため、大部分は体外から摂取して補充しなければなりません。
低分子抗酸化剤は、人間や動物では体内で十分産生することはできませんが、植物では大量に作られ、十分な量が存在することから、果物や野菜を食べることが大切なのです。
野菜や果物はハウスものでない新鮮なものを
■細胞の受容体と吸収された物質
ビタミンＣやＥは、人間は外から摂取しなければなりませんが、大量に摂取してもそれほど効果を感じられません。なぜなら、体内の細胞内の活性酸素や過酸化脂質を抑えて効果を出すためには、人間の細胞の受容体から受け取られて、悪影響を及ぼしている細胞内に届かなければならないのです。
天然のものでない化学合成した物質（ビタミン剤）を受容体（レセプター）はなかなか受け取ろうとしません。また、天然のビタミンＣやＥを摂取しても、血中は２０〜３０％しか上昇せず、大量に摂取すると、逆に活性酸素を増加させてしまうという問題があります。
ビタミンや抗酸化作用のある野菜や果物を食べる場合は、なるべく新鮮なもの、自然に自 生しているものがよく、人工的に栽培されたものは避けてください。古いものやハウスものなど人工に栽培されたものは含有されるビタミンの活性が低く、活性酸素除去の力もあまり強くなくなってしまうからです。