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5-1.ニキビができるメカニズム |
ニキビは一般に皮脂腺が多くある顔・胸・背にできますが、肌質としては脂性の肌の方にできやすい傾向があります。特に様々なホルモン分泌が活発になる思春期にできることが多く、この場合は第二性徴に伴うホルモン活性化による過剰な皮脂分泌が原因です。しかし、大人のニキビはストレスやメイク汚れ、食生活など様々な原因があります。
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ニキビが発生するまで
@男性ホルモンの増加で皮脂腺が刺激され分泌量が急激に増えることがあげられます。
A毛包中の細菌が増加し、中に溜まった皮脂を分解して「遊離脂肪酸」が増加すると毛包が刺激されます。
※表皮常在菌であるアクネ菌と呼ばれる「プロピオニバクテリウム・アクネ」や「黄色ブドウ球菌」、「表皮ブドウ球菌」が内部で増殖を始めます。この増殖した細菌は細菌性のリパーゼ(分解を促す酵素)という物質を産み出します。リパーゼは皮脂中の中性脂肪を分解、炎症誘発物質である“遊離脂肪酸”を産生します。
B毛包周辺の角質層が厚く角化し、毛口が狭められと、滞りがちになります。
C時間が経過するとともに溜め込まれた脂質は過酸化脂質となり、それに加えてゴミやホコリも付着し、細菌の繁殖も活発になり、炎症を起こします。
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ニキビ形成第1段階<白ニキビ>
●ニキビの始まりの時には、毛口が狭められて皮脂が毛包内に溜まった状態をコメドといいます。コメドは初期は表面上の正常な皮膚よりやや白く見える小さな固い丘疹です。指先で押すと白っぽい粘りがある内容物がでてきます。このほとんどは貯蓄されていた皮脂です。すでに酸化し、変質してしまっているので異臭をともなうこともあります。このように白っぽくポツンとできて毛口がまだ開いていないコメドを『白ニキビ』といいます。この時期は、まだ炎症を起こしていません。コメドの内容物も外気に触れていないので発赤をともなうこともありません。 |
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ニキビ形成第2段階<黒ニキビ>
●白ニキビがさらに進むと、毛包内に溜まっている皮脂が毛口を押し広げます。外の空気中の汚れが付着したり、皮脂が酸化して、毛口の部分が黒っぽくなります。これを『黒ニキビ』といいます。 |
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ニキビ形成第3段階<炎症>
●皮脂成分による刺激と細菌により炎症を起こしてニキビになります。 |
<細菌>
皮膚に常に存在する菌として、最も多いのはブドウ球菌の一種の「表皮ブドウ球菌(ひょうひぶどうきゅうきん)」で、1cm2あたり数百から数十万個に及びます。次いで「アクネ桿菌(あくねかんきん)」とよばれるニキビ菌で数十から数百単位となります。どちらの菌も脂肪を好むので、皮脂は絶好の対象になります。さらにアクネ桿菌は空気に触れることを嫌う細菌なので、毛口の閉鎖が進めば進むほど毛包内で増殖します。
<皮脂成分の刺激>
毛包内に溜まった皮脂が、これらの細菌よって分解されると、皮膚細胞に強い刺激を与える『遊離脂肪酸』に変化します。コメドが炎症を起こすと『赤ニキビ』となり、赤ニキビが化膿すると膿疱ができ、これが『黄ニキビ』のことです。 |
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ニキビ形成第4段階<硬結座瘡(こうけつざそう)>
●黄ニキビの膿疱が皮膚表面におさまっている場合は、適切な治療、清潔保持、規則正しい生活などによっては痕を残さずに治癒します。しかし、炎症が真皮や皮下組織にまでいたると、皮膚の真皮の細胞が壊死してしまいます。ニキビの重症状態を『硬結座瘡』といいます。痛くてかゆいという症状を伴い、そのまま放置しておくと、後にクレーターのような痕を残すことになりますから、皮膚科の受診で適切な治療が必要です。 |
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